AKT | アカサカテック|GPS/GNSSを活用した船舶・建設・情報化施工システム

BLOG

活用事例

基礎工での捨石投入作業の効率化と大幅な材料の削減

株式会社こんどう様

福井県大飯郡に本社を構える株式会社こんどう様(本社:福井県大飯郡おおい町尾内32-11-1 代表取締役社長 近藤和司)(以下敬称略)は、平成29年7月に弊社システム『GPGlove(GNSSグラブ船誘導管理システム)』と『GPMate-ECHO(GNSS深浅測量システム)』を導入以来、システムを【普段使い】しています。

ここでいう【普段使い】とは、『発注工事においての技術提案有無に関係なく、使用すれば施工効率及び施工精度も上がるため、日常的に使っている』ということです。
この【普段使い】で、藻場造成工事(平成30年度水産環境整備事業 その2工事:おおい町大島)では、『令和元年度 優良工事等事業者 優良賞』を受賞しました。

今回は『GPGlove(GNSSグラブ船誘導管理システム)』と『GPMate-ECHO(GNSS深浅測量システム)』を使用して、基礎工の捨石70,000立米、消波ブロック据付4500個の施工を行なう現場を訪問させていただき、システム採用の背景や導入後の変化についてお話を伺いました。

  • 建設業向け
  • インフラ保全業向け

漁業施設整備工事

海と消波ブロック

福井県のおおい町大島では、平成29年から漁業施設整備工事として、波の打上高や波圧を軽減することを目的とした基礎工(捨石均し)および消波ブロックの据付が行われています。

本工事を請け負う株式会社こんどうは、捨石50~200kgの投入が工事の大半を占めるということから、捨石投入作業の効率化及び材料削減に重点をおいた施工を検討していました。

そこで採用頂いたのが、弊社の『GPGlove(GNSSグラブ船誘導管理システム)』と『GPMate-ECHO(GNSS深浅測量システム)』でした。

工事の概要

350t起重機船『こんどうマリン3号』
350t起重機船『こんどうマリン3号』

システムを使用した作業工程
① GPMate-ECHOで施工前の事前測量
② GPGloveで基礎工の捨石投入(1~4層)
③ GPMate-ECHOで層毎の現況測量(1層~3層)
④ GPMate-ECHOで基礎工の出来形測量(4層目)
⑤ 消波ブロック据付

今回訪問したタイミングでは、⑤のGPGloveを活用した消波ブロックの据付作業を進めており、クレーン操作室で表示しているブーム誘導画面をブリッジでも画面共有しながら施工管理を行っていました。

  • クレーン操作室でGPGloveを確認クレーン操作室のモニターで現在位置と誘導位置を確認
  • ブリッジでGPGloveを操作ブリッジでも施工状況をリアルタイムに確認

システムの概要

GPGloveシステム概要

今回の機器構成では、台船にDGPSコンパスを設置することにより台船の現在位置と方位(台船の方向)がリアルタイムに画面表示され、ブームトップにはネットワーク型RTK-GNSSを使用することでブームトップ位置がリアルタイムに数cm精度で画面表示されます。

また、無線LANを通じてクレーン操作室とブリッジ側で画面共有及び操作が可能です。

 
GPGlove リアルタイム誘導画面
リアルタイム誘導画面 台船及びブームトップ現在位置の表示と目標点からのズレ量を表示

現場背景図
現場背景図

GNSS深浅測量による層毎の現況横断図
GNSS深浅測量による層毎の現況横断図

GPGlove グラブ船誘導管理システム

作業風景

抜群の操縦技術を持つ森下船長
軽量の消波ブロックを揺らさずに、素早く据付位置にピンポイントで誘導。
軽い吊り荷を、揺らさずにこんなに早く正確に誘導できる船長は数少ないようで、多くの起重機船に乗船している弊社・山田が「凄いな。ピカイチだな。」とつぶやいていました。

システムを導入してみて

株式会社こんどう 永田隆弘様
株式会社こんどう システム担当 永田隆弘様
  
「2つのGNSSシステムを導入してから、従来の課題であった、捨石投入時の材料の設計量外数量が多くなるといった問題点が劇的に改善されました。また進捗確認についても、従来と比較し効率よく作業を行うことができて、予想以上の成果を得ることができました。
現場で問題が起こった際には、アカサカテック(AKT)からリモートでトラブルシューティングをしてもらうこともあり、現場の進捗に影響を及ぼすことなく円滑に工事を進められています。他の会社さんもみんな導入したらいいのにと思いますよ。と、言うより何故導入しないのかわからない。(笑)」

そう話して下さったのは、システムを担当する永田様。

また、起重機船『こんどうマリン3号』の森下船長からも、「今までは正確にわからなかった自船の現在位置がGNSSによってリアルタイムに画面表示される。画面上から作業場所への誘導などがスムーズに行う事ができるので、仕事のスピードが格段に上がった」「従来よりも早く正確に作業が進む」「漁礁・ブロックなどの据付には抜群」とのお言葉をいただき、作業効率の向上を実感する声を多くいただきました。

その他の工事を例に挙げると、作業場所に隣接する養殖イカダなどがある場合、普段は起重機船を作業場所に移動させる為、工事前にイカダの移動をお願いしていたそうです。しかし、GNSSシステムを導入しているおかげで、養殖イカダの位置と台船侵入経路を事前にシュミレーションすることによって、養殖イカダを移動することなく、作業場所に入れることができました。

 

  • 起重機船を操作する作業員
  • 玉掛毛を行う作業員

森下船長とクルーの松葉様、内藤様、松浦様
施工現場で暑い中、迅速で正確な玉掛を行っていました。
※起重機船への訪問時には、皆さまに優しく接していただいています。

  • 潜水士に指示する作業員
  • 事務所PCで施工状況の確認をする作業員

現場担当の若手社員 中谷翼様(暑い中、日陰の無い施工現場で現況確認を行う)

令和元年度 優良工事等事業者 優良賞

施工履歴のCADデータ

受賞内容 : 自然石による藻場造成工事において、GPSグラブ船誘導管理システムにより、広範囲の海底の様子をリアルタイムでモニター確認するとともに、試験施工により、石材量を把握するなど、天然藻場を乱すことなく均質な藻場の造成を行った。

平成30年度 水産環境設備事業 その2工事では、GPGloveとGPMate-ECHOを併用導入し、『令和元年度 優良工事等事業者 優良賞』を受賞されました。

PC画面を指さす作業員
藻場造成工事を終えた漁場

これほど、きれいな施工完了状況を確認できるのは、感動以外の言葉がありません。

「橋や道路など目に見えるものは評価されやすいです。しかし、水中の捨石、漁礁設置など目に見えないものは、なかなか評価されづらいのが実情です。しかし、GNSSシステムを使用したおかげで、目に見えない施工でも目に見える正確なデータの提出ができて、高い評価を頂くことができました。」と、システムを担当する永田様から受賞背景についてのお話も伺えました。

進捗毎の計測データを組み合わせたCAD図面や、施工後に現場上空からドローンで撮影した写真を見せて頂きましたが、確実な施工がされているのが一目でわかる施工記録でした。

今後は陸上工事でもICTを導入したい

株式会社こんどうのヘルメット写真

「今回のシステム導入をひとつのきっかけとして、海洋工事だけではなく施工割合の多い陸上工事においてもGNSSを用いたICT施工システムを導入して、お客様のニーズにお答えできるよう、全社員一丸となって技術の向上・進歩に努めたい」とのお言葉をいただきました。

今後も株式会社こんどう様と共に業界の発展に寄与できるよう、我々AKTも一層の努力を重ねて参ります。

この度は、取材・撮影のご協力を頂きありがとうございました。
(取材日2020.09.01)

起重機船側面

今回使用された製品

製品紹介

GPGlove グラブ船誘導管理システム
GPGlove(ジーピ-グローブ)は、GNSSから取得した位置データを使用し、作業船の自船位置やブームトップの位置をパソコン画面上に表示して、目標場所への誘導・記録を行うシステムです。オペレータの操作を事務所PCからリアルタイムに確認できます。

 
GPMate-ECHO GNSS深浅測量システム
GPMate®- ECHO(ジーピーメイト・エコー)は、GNSSの位置座標と音響測深機の測深値を時刻同期して、自船位置の深さをリアルタイムで表示・記録する深浅測量システムです。深浅測量だけではなく、旗入れ、浮標灯、漁礁設置などの目標点誘導にも使用可能です。

製品カタログをダウンロードする

  

BLOG: 作業船での災害の発生状況 
考えられる原因と対策を解説!

BLOG: 深浅測量(音響測深)について
種類別にメリットとデメリットを紹介!

BLOG: 水位計の種類 原理や長所・短所
向いているケースを詳しく紹介

関連記事

pagetop