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GNSS(全球測位衛星システム)の動向を紹介!

次世代GNSSに向けた国内外の主なトピックス

高精度な位置情報を取得できるGNSSは、いまや産業や生活において欠かせないシステムのひとつです。GNSS機器の小型化や高性能化のみならず、付随サービスにおいても日進月歩の進化を続けています。

そこで本記事では、GNSSにおける近年の動向や国内外のトピックスについて紹介します。

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GNSSの仕組みとメリット

 
GNSSとは「G lobal N avigation S atellite S ystem」の頭文字を取った言葉で、衛星を利用した測位システムの総称を指します。米国のGPS(ジーピーエス)だけでなく、ロシアのGLONASS(グロナス)、中国のBeiDou(ベイドゥ)、EUのGalileo(ガリレオ)、日本のQZSS(みちびき)など様々な測位システムが含まれます。
   
衛星測位システムを用いて誤差数cmの高精度測位を行う方法として「RTK測位」がありますが、これには常時5個以上の衛星受信が必要となります。日本上空にある衛星数は時間によって変化するため、たとえばGPSのみで位置情報を取得しようとする場合、受信できる衛星数が足りず測位できない時間がでてきます。
  
測位を行う場所や時間により受信状況は異なりますが、複数の衛星から位置情報を受信することで測位できる確率が上がるため、近年では複数の衛星に対応したGNSS受信機が広く普及しています。
  

BLOG: RTK-GNSSとは?
測位方法の違いや精度を高めるデジタル簡易無線機のメリットを紹介

近年におけるGNSSの動向


   
近年では、測位衛星信号の妨害に対する信用性の高いシステム需要の高まり、および高精度化が進んでおり、EUでは「Galileo」第二世代の整備に着手(初号機は2024年打ち上げ予定)、米国では小型衛星市場「New Space」の低軌道小型衛星群によるGNSS提案が進められています。
  
日本では、電子基準点網を利用した「みちびき」の高精度測位補強サービスの海外展開(主にアジア・オセアニア地域)を開始し、2019年秋から2020年2月にかけてインドネシアでの実証実験が行われました。

その他、次世代GNSSに向けた動きとしては、補強サービスの拡充による利便性の追求が進められており、ロシアではSDCMなどの補強情報サービスを強化。また、捜索・救難(SAR)サービスの付加としては、米国では「GPS」の第3世代後継機から搭載、欧州では次の「Galileo」で第2世代のSARを計画しています。
  
参考サイト:内閣府「国際航業、インドネシアでみちびきを活用した高精度測量の実証実験」
参考サイト:SPAC(一般社団法人衛星測位利用推進センター)
  
  

Ntripサービスの普及

   
Ntrip(Networked Transport of RTCM via Internet Protocol)方式とは、インターネットを経由してGNSS補正データ(VRSも含む)のやりとりを行うためのデータ通信方式です。重機制御の「自動化」や、ドローンを活用した測量の「省力化」など、土木建設業界ではNtrip方式が広く活用されはじめています。
  
また近年では、大手通信キャリアであるソフトバンクやNTTドコモがRTK-GNSSの補正信号を配信するサービスを開始。ソフトバンクは、全国3,300ヵ所以上の基地局を独自の基準点として活用。一方NTTドコモは、国土地理院が設置した全国約1,300局の電子基準点に加え、独自の固定局を補完的に設置しサービスを提供しています。
  
参考サイト:ソフトバンク 高精度測位サービス ichimill
参考サイト:NTTドコモ IoT高精度GNSS位置情報サービス
  
  

CLAS(センチメータ級測位補強サービス)の配信

   
「CLAS」とはQSS(準天頂衛星システムサービス株式会社)が配信している「センチメータ級測位補強サービス」です。国土交通省国土地理院が全国に整備している電子基準点のデータを利用し、センチメータ級測位補強情報を「QZSS(みちびき)」から送信します。
   
補正信号の取得にはCLASに対応したRTK-GNSS受信機が必要になりますが、JSS(一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構)が提供する「CLARCS(センチメータ級測位補強システム)」を用いることで、従来のRTK-GNSS受信機でも地上回線経由で信号を取得することができます。
   
RTK測位と比較しやや精度は劣りますが、次世代の高精度衛星測位の主役として、自動運転システムで必要な車線判定など、新たな分野への利用展開が期待されています。
    
参考サイト:JSS(一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構)
   

BLOG: みちびきのCLASとは?
準天頂衛星を経由した高精度測位の仕組みやRTKとの違いを解説

 
    

PPP-RTK(精密単独測位)方式のサービス提供

   
PPP-RTK(精密単独測位)とは、高精度測位を実現するRTK方式に加え、PPP方式のカバー範囲の広さなどを併せ持つ、新しい方式の高精度位置測位技術です。
    
PPP-RTK方式を用いることで、基準局のエリアをまたぐ度に自分の位置を送り直す必要がなくなるためデータ通信量を削減でき、基準局の設置台数が10分の1程度で済むことで、コスト削減と高速移動中の安定した測位を両立しやすいメリットがあります。
   
大手通信キャリアであるKDDIは米国のSwiftNavigationと業務提携をし、PPP-RTK方式に対応する独自基準局を2021年12月までに全国に設置、2022年春のサービス提供開始を目指すと発表しています。
  
参考サイト:KDDI ニュースリリース
  
  

スマホ高精度測位への期待

   
海外では、スマートフォン内蔵の受信チップを活用した高精度測位の取り組みが進んでいます。 2017年6月には、GoogleのAndroidアプリを用いたRawMeasurementと、その利用に関わる知識・専門技術の共有を目的に、タスクフォースが立ち上げられました。
   
また、2周波を利用して50cmの位置精度を出すアプリや、3Dマップでマルチパス除去が可能なアプリが登場。スマートフォンをはじめ、IOTや自動車、ロボティックス、ドローンなど、highvolumedevice(ハイボリューム・デバイス)の高精度化が加速しており、端末の価格競争が激化する一方で、今以上の高精度を必要とする産業分野において、GNSSの普及率が上がることが期待されています。

参考サイト:SPAC(一般社団法人衛星測位利用推進センター)
  
 

BLOG: 高精度RTK測位の活用場面を解説!
AKT製RTK-GNSS対応製品もご紹介

AKT製 RTK-GNSS製品

高精度のRTK測位に対応する、アカサカテック製RTK-GNSS製品を紹介します。

『HDT320』 2周波RTK-GNSS 受信タブレット端末

Android OSを搭載した堅牢型・多機能端末です。2周波RTK-GNSSを2基搭載、スマホ感覚の操作性、重機への接続を前提に作られた強固な筐体、信頼性の高い物理ポートインターフェイスが特徴。現場・ビジネスニーズに応じ、多種多様なアプリケーションに対応できます。

HDT320:製品詳細を見る


『nico・one』2周波 RTK-GNSS受信機

2つの2周波GNSSモジュールを1台の筐体に収めた、まったく新しい発想の産業用GNSS。2基のRTK-GNSSにより、大型構造物・作業船などの位置誘導、姿勢制御、クレーン先端位置の計測など、今まで2台以上必要だったGNSS受信機がnico・one 1台で、様々なシーンに活用できます。

nico・one:製品詳細を見る


『AR270』4周波 GNSSアンテナ

AR270は、優れたマルチパス耐性をもつ4周波対応の小型マルチGNSSアンテナです。高性能GNSSセラミックパッチアンテナと、革新的な回路設計による独自フィルタリング技術により、不要な信号からの干渉を低減し、安定した測位をサポートします。

nico・one:製品詳細を見る


まとめ


    
次世代のGNSSに向けて国内外の動向は活発化しており、今後もさらなる技術進歩が見込めます。
  
AKTでは、ニーズに合わせてさまざまなGNSS機器を取り扱っています。これからGNSSを導入してみたいという方は、ぜひ一度お問い合わせください。
  

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