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作業船での災害の発生状況 考えられる原因と対策を解説

作業船では、さまざまな災害が発生する可能性があります。管理者が中心となって災害リスク軽減の適切な対応をしていないと、いつ大きな事故が起きてもおかしくありません。作業船での災害発生状況や原因、対策などを知ることで、災害リスクを軽減する対策ができるようになります。

この記事では、作業船における死傷災害の発生状況や原因、対策などについて解説します。

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作業船における死傷災害の発生状況


    
作業船による港湾工事を行う際には、はさまれや転落、転倒、崩壊など、さまざまな災害リスクがあります。場合によっては死亡事故も発生しています。国土交通省によると、港湾空港関係直轄工事の死傷災害発生数は、以下の通りです。
  
 
【年度別】港湾工事の死傷災害発生数
港湾工事の死傷災害発生数 表
参照元: 国土交通省北陸地方整備局 港湾空港部工事安全推進室「港湾工事等の安全対策について」
    
  
上記によると、港湾工事による死亡者数は、過去5年で3名です。令和2年の港湾工事による負傷者30人のうち、休業4日以上は16人、休業4日未満は14人という結果になっています。過去5年の災害発生件数は減少傾向であるといえますが、大幅な改善には至っていないのが現状です。

また、令和2年度の港湾空港関係直轄工事における死傷災害発生状況は、次の内容に分類されます。
  
 
【内容別】令和2年度 港湾工事の災害発生数
令和2年度 港湾工事の災害発生数 表
参照元: 国土交通省北陸地方整備局 港湾空港部工事安全推進室「港湾工事等の安全対策について」
    
  
上記の通り、最も多い災害が「はさまれ・巻き込まれ」で、全体の約4割を占めています。「その他」の項目には、「溺れ」「踏み抜き」などが含まれます。

作業船での死傷災害の主な原因


   
作業船での死傷災害は、その内容によって事故発生の原因が異なります。災害内容と原因、対策を知っておくことで、死傷災害のリスクを軽減することが可能です。いずれの災害も共通して管理者の適切な対応が求められるため、災害内容や原因について把握しておきましょう。

     

はさまれ・巻き込まれの原因

作業船による港湾工事等で最も多い事故が、「はさまれ・巻き込まれ」です。
クレーンや鉄板、蓋、係留ロープなどに体の一部がはさまれたり、巻き込まれたりすることで事故につながるのです。場合によっては、「はさまれ・巻き込まれ」により亡くなる人もいます。「はさまれ・巻き込まれ」の事例には、次のようなものがあります。

● 係留ロープをビットにかけようとして手をはさまれる
● 根固めブロックに足をはさまれる

係留ロープの間に手を入れたこと、根固めブロックに近いまま巻上・巻下の合図をしたことなどが発生原因の1つです。「はさまれ・巻き込まれ」を防止する対策として、補助ロープを持って係留ロープを取り付ける、根固めブロックから離れて巻上・巻下の合図をするなどを行うことが大切です。
  
  

切れ・こすれの原因

   
「切れ・こすれ」とは、刃物や工具などを使用しているときなどに誤って手指を切ったり、体の一部がこすれたりする負傷のことです。
例えば電動ディスクグラインダーで接触面を仕上げる際は、誤って手や足に接触してしまい怪我をするなどのリスクがあります。
 
グラインダーの作業時は防じんマスクの着用をはじめ、皮手袋などの保護具の着用が必要です。作業前に保護カバーが機能しているかの確認を行うとともに、作業中に姿勢を変えるときは周囲を確認し、慎重に行うことが大切です。
   
  

墜落・転落の原因

    
作業船では、人が足場や機械などから落ちたり、乗っていた場所がくずれて落ちたりする「墜落・転落」災害も起こり得ます。作業している場所が高所である場合は、死亡する可能性もあるでしょう。墜落・転落の事例には、次のようなものがあります。
  
● 作業中に外れたハシゴから落ちて海中に転落した
● クレーンに乗り込むときに足を踏み外して転落した
  
ハシゴ自体が不安定な場合や、固縛したフックが適切にかかっていない場合などが、転落の原因になります。また、クレーンを乗り降りする際は手に物を持った状態で乗り込むことはせず、昇降時は足元をしっかりと確認しましょう。看板などで注意喚起をしたり、滑り止め対策を行ったりするのも効果的です。
   
  

転倒の原因

  
作業船は波の状態によって起伏が激しいほか、海水で滑りやすくなっているため、つまずいたり滑ったりして転倒する可能性があります。作業する際は必ず足元を確認するのはもちろん、足元や突起物が視認できる程度の明るさを確保するなどの対策が大切です。
   
  

飛来・落下物に当たる原因

  
海上は風や波の影響を受けやすい多いため、飛来物や落下物に当たって負傷する場合があります。飛来・落下物に当たる事例には、次のようなものがあります。
  
● 型枠の撤去中に金具が落下して潜水士に当たる
● 吊り荷の落下
   
落下物が発生しないよう、落下防止用のネットや受けカゴなどを設置するなど、落下対策を施す必要があります。また、摩耗対策をしていない場合や、厳しい気象条件下で吊枠にセットしたままの状態にしていると、吊り荷が落下するおそれがあります。摩耗対策や気象条件が厳しい場合は吊枠を降ろしたり、全船員に点検方法を周知徹底したりすることが必要です。

作業船での死傷災害を防ぐための対策


 
作業船での死傷災害を防ぐ対策には、作業基準に則った点検や安全衛生に関する教育の徹底、安全装置等の設置などがあります。災害リスクを軽減するためにも、どのような対策があるのか知っておくことは大切です。

ここでは、作業船での死傷災害を防ぐための対策について見ていきましょう。
  

作業基準等の再点検

   
作業船での死傷災害を防ぐための対策の1つが、作業基準等の再点検です。作業基準や安全基準を再点検することで、災害発生のリスクを軽減することが可能です。具体的な点検項目として以下が挙げられます。

● 物を持って昇降しない
● 1人作業はしない
● 高所作業は安全帯を使用する
● 落下防止のために手すりなどを設置する
● 危険エリアや退避ラインを作業手順書に記載する
● 作業計画の守点検をする
● 荷台に上がるときは昇降設備を用いる
  
作業基準等の点検は現場管理者を中心に行い、頻繁に進捗や危険箇所を把握することが大切です。また、随時ミーティングを開催し、作業員に対して周知を徹底する必要があります。
  
  

安全衛生に関する教育の徹底

     
安全衛生に関する教育を徹底することで、作業船での死傷災害の発生を抑制できます。
  
安全衛生に関する教育として、船員に対して安全作業指示や安全動作の徹底、服装・安全保護具の着用などの指導を目的とした研修・勉強会を随時行うことで、安全に関する意識向上につながります。
  
また、全ての作業に対して作業標準書の整備や作業手順書の確認を適切に行うことで、工程ごとの危険なポイントを的確に押さえられ、災害リスクの軽減が可能です。
  
教育を受ける対象者は、新人の船員だけではありません。気の緩みや慣れにより中堅・ベテランの船員でも災害に見舞われる可能性があるため、中堅・ベテラン船員に対しても積極的に教育の機会を設けましょう。
  
  

作業前ミーティングの実施

    
作業船での死傷災害を防ぐために、作業前のミーティングを実施しましょう。ミーティングでは、安全基準や作業基準の確認、その日の災害リスクが高い作業内容と安全対策について共有を行うことで、船員の安全への意識が高くなります。
   
また、ミーティングの際は周知を徹底できるように現場管理者がミーティングの進行を工夫して、どの船員にも分かりやすくまとめることが大切です。各船員の作業内容や作業場所や、危険場所を船の見取り図などを利用して分かりやすくまとめるなどをすると、どの船員も把握しやすいでしょう。
  
  

労働時間等の是正

  
作業船での死傷災害を防ぐために、船員全体の労働時間の是正を行いましょう。例えば残業時間の削減や休日の確保を徹底することで船員が心身ともにリフレッシュできるため、仕事に対する集中力が増し、災害リスクの軽減につながるでしょう。また、労働時間だけでなく、労働環境の是正・改善を行うことによって船員の健康維持を図ることができ、生産性の向上も期待できます。
  
  

安全装置等の設置

   
安全装置等を設置することで、作業船での災害を予防できます。防護柵、安全標識、安全通路、手すり、安全帯、墜落防止安全ネットなどの設置を徹底して行うとともに、船員が危険エリアに入ると知らせてくれる安全装置等があると便利です。安全装置を設置することで危険な行動を早めに察知できるため、災害を未然に防げるでしょう。

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画面イメージ
  
AKTの『船員位置管理システム』は、タブレット端末を使って作業船上にいる船員の位置情報を管理できるほか、危険なエリア内に入ると注意喚起などを行えるシステムです。

専用端末で船員の位置情報をリアルタイムに管理でき、船員が危険エリアや侵入禁止エリア内に入ると警告音とアラート表示を行います。管理者は遠隔で船員の動きを把握できるとともに、呼び出しや作業指示を出すことも可能なのです。

船員位置管理システムを活用することで効率よく船員の位置情報を把握でき、注意喚起が行えるため、災害発生リスクを軽減できます。
   

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まとめ


     
作業船では、「はさまれ・巻き込まれ」「墜落・転落」などさまざまな災害発生のリスクがあります。管理者を中心に作業基準等の再点検や、安全装置等の設置などの対策をするとともに、船員らの危険に対する意識付けを行うことで災害発生を予防することが可能です。

作業船の安全装置として、アカサカテックの「船員位置管理システム」の導入がおすすめです。「船員位置管理システム」では船員の危険な行動を察知して知らせるシステムを搭載しているため、効果的に安全対策を行えます。ぜひ導入を検討してみてください。
  

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