AKT | アカサカテック|GPS/GNSSを活用した船舶・建設・情報化施工システム

BLOG

トレンド

UWBとは?位置測位の仕組みや他のシステムとの違い・屋内測位の方法を解説

UWB(Ultra-Wide Band)は、これまでWi-FiやBluetoothでは難しかった10cm〜1mの高精度な位置測位ができる無線通信技術として、屋内用の位置測位システムの分野において注目を集めています。

本記事では、UWBの仕組みや他のシステムとの違いについて解説し、倉庫や工場、建設現場で人々の安全を守るUWB製品についても紹介します。

  • 建設業向け
  • メーカー向け
  • インフラ保全業向け

UWB(超広帯域無線通信)とは

UWB(Ultra-Wide Band)は、「超広帯域無線通信」を意味し、広い周波数帯域(国内では8.5GHz~9.5GHzほど)を利用して、高精度な位置測位ができる通信システムのことです。数ナノ秒(1秒の10億分の1)の短いパルス信号を使い、位置測位の精度は10cm〜1mに達します。また、障害物に強く、Wi-FiやBLE(ビーコン)など他の通信に対して干渉しにくいことから、屋内測位に適していると考えられます。

UWBの技術は、もともと1960年代から軍事用レーダーとして研究・開発されたもので、長らく民生用には利用されていませんでした。しかし、2007年に民生用の国際標準規格が定められ、日本国内でも使用を認められています。最近では2019年に屋外での利用を解禁されました。

UWBを搭載した身近な製品には、スマートフォン(紛失・盗難防止用)や高級車のスマートキーなどが挙げられます。

UWBの位置測位の仕組み

UWBの位置測位は、「AoA(信号到達角度)」と「ToA(信号到達時間)」といった方法を用います。製品によっては、AoAとToAどちらも利用してより高精度な位置測定を実現しています。

それぞれの方法について詳しく説明します。
  
  

AoA(信号到達角度)

  
AoA(Angle of Arrival)は、送信機からの信号が受信機に到達する「角度」を測定するものです。
 
複数のアンテナを使い、信号が到達する角度を1軸平面または2軸平面で算出します。信号がどの方向から来たかを特定することで、位置を測定できます。
 
 

ToA(信号到達時間)

  
ToA(Time of Arrival)は、送信機からの信号が受信機に到達する「時間」を測定するものです。
 
信号が送信される時間と受信される時間の差を計算し、その時間差をもとに距離を測定します。

UWBと他の測位方式の違い

様々な測位方式
 
UWBの他にもさまざまな測位方式があります。それぞれの概要を以下にまとめました。


  
UWBは他の測位方式に比べ、広い周波数帯域を使用するため、位置測位の精度が10cm〜1mと高くなっています。障害物に強く、安定した通信が可能です。UWBのメリットについては、次項で詳しく触れます。
  

UWBによる位置測位のメリット


 
UWBの位置測位にはいくつもメリットがあります。
  
  
・ 計測の精度が高い
・ 低コストを実現
・ マルチパスに対応
・ 測定時間が速い
・ 他の無線の影響が少ない

  
それぞれについて詳しく解説します。
 
 

計測の精度が高い

  
ここまで触れたように、UWBはナノ秒単位の短いパルスを使用し、広い周波数帯域で通信を行うことで誤差の少ない計測ができます。

UWBは複数の信号を同時に送受信できるため、密集した環境でも位置測位の精度が落ちません。工場や倉庫といった環境での利用に向いています。
  
  

低コストを実現

   
UWBは数ナノ秒の短いパルス信号をするため、低消費電力で動作します。バッテリーの寿命が長く、交換頻度が少ないことから、機器の運用コストを抑えられます。
 
また、UWBは他の無線技術と干渉しにくいため、干渉対策にコストをかける必要もありません。
 
 

マルチパスに対応

   
マルチパスとは、電波がまっすぐ届く以外に、障害物に反射していくつかの経路を通って受信機に届く現象です。反射することで電波の到達が遅れるため、正確な位置測定ができなくなってしまいます。
  
UWBは短いパルス信号を利用することで、マルチパスに対応することができます。
 
 

測定時間が速い

  
UWBはナノ秒(1秒の10億分の1)単位のパルスを使用し、伝送速度が数百Mbpsに達すことから、リアルタイムでの位置測位が可能です。たとえ対象物が動いていたとしても、リアルタイムに捕捉します。また、大容量の通信にも対応しています。
  
  

他の無線の影響が少ない

  
UWBは広い周波数帯域(国内では8.5GHz~9.5GHzほど)を使用するため、他の無線通信システムと干渉しにくいです。Wi-FiやBLEなど複数のデバイスが同時に使用される環境でも、安定した通信が可能です。
  
なお、Wi-Fiは2.4GHz帯、5GHz帯、60GHz帯を、BLEは2.4GHz帯を利用しています。

UWBによる位置測位のデメリット


 
UWBによる位置測位にはメリットがある一方で、デメリットも存在します。
  
  
・ 専用タグを設置する必要がある
・ アンテナを複数設置する必要がある

  
それぞれについて詳しく解説します。
 
 

専用タグを設置する必要がある

  
UWBでは、測定対象物に受信専用タグを取り付けなければなりません。タグはUWBの信号を受信するために必要で、タグ自体や設置にコストがかかります。
 
タグの設置は手作業で行うことが多く、製品によっては時間や労力がかかるかもしれません。また、タグの管理やバッテリーの交換も必要となるでしょう。
  
  

アンテナを複数設置する必要がある

   
UWBでは、複数のアンテナを設置して位置を測位します。アンテナは測定範囲をカバーできるよう配置する必要があるので、広い範囲を測定するためにはアンテナをいくつも設置しなければなりません。
 
そのため、初期設置コストが高くなります。また、アンテナの設置場所や配線の確保も課題となるかもしれません。

UWBによる屋内測位の方法

UWBによる屋内測位は、次の手順で行います。
 
1.測定対象物への専用タグの取り付け
まず、測定対象物に専用タグを取り付けます。タグはUWBの信号を受信して、位置情報を特定する役割を果たします。
 
2.アンテナの設置
測定エリア内に複数のアンテナを設置します。タグから送信される信号を受信し、位置情報を計算します。
 
3.位置情報の計算
センサーが受信した信号の到達時間や角度から、測定対象物の位置を特定します。この計算には、ToA(信号到達時間)やAoA(信号到達角度)といった技術が用いられます。
 
4.リアルタイムでの位置表示
計算された位置情報は、リアルタイムで表示されます。測定対象物の動きを正確に追跡できます。
  
UWBの屋内測位は、工場内での作業動線管理やオフィス内での人の動きの管理など、さまざまなシーンでの活用を期待できます。

UWBの技術を活用したAKTの接近警報システムとは

AKTから、UWBの技術を活用したスマート接近警報システム「AKT IPAS(AKTアイパス)」 がリリースされる予定です。

「AKT IPAS」は、屋内における人と車両、車両同士、車両と障害物の衝突を防ぐためのシステムです。UWBを用いて、物体がどれだけ近づいているかを測定し、危険が迫った際はアラートを発報します。倉庫や工場、建設現場などにある、死角や交差点といったエリアでの事故を防げるでしょう。

【AKT IPASが対応している車両】
フォークリフト、掘削機、ローダー、トラクター、ダンプトラックなど

車両に付けるタグの設置、設定は非常にシンプルです。サインアップやキャリブレーション(調整)が要らず、車両を傷つけてしまう心配もありません。コントローラーのタッチパネルから危険ゾーンや注意ゾーンを簡単に設定できます。

また、環境に応じて多様なタグを用意しており、より広いエリアをカバーできたり、空間や進行方向に合わせて警告ゾーンを調整してくれたりします。

このようにAKT IPASは、現場作業での衝突事故を防ぎ、作業員たちの安全を守ることにつながるシステムです。

  

AKT IPAS スマート接近警報システム [製品ページ]

まとめ

UWBは短いパルス信号を使用し、AoA(信号到達角度)やToA(信号到達時間)の方法で位置を特定します。Wi-FiやBLEなど他の測位方式と比べ、精度が高く、マルチパスにも強いというメリットがあります。一方で、専用タグやアンテナの設置が必要というデメリットもあります。

AKTの「AKT IPAS」は、UWBの技術を活用して人と車両、車両同士の衝突を防ぐ新たなソリューションを提供します。簡単に設置でき、環境に合わせた調整が容易です。倉庫や工場、建設現場などで、安全性と効率性を両立させるために「AKT IPAS」を活用してはいかがでしょうか。
 

CONTACT:お問い合わせ

関連資料ダウンロード

チェックした資料をまとめてダウンロードできます

  • AKT IPAS スマート接近警報システム
  • UWBについて(お役立ち資料) UWBとは?位置測位の仕組みや他のシステムとの違い・屋内測位の方法を解説(2025.09 公開)

関連記事

pagetop